ウブシノッタ川遡行報告書2018年7月28日(日)

知床ウブシノッタ川を遡行した。
メンバー Inoue、Moco2
カムイワッカ駐車場(1.5h)硫黄山橋(40m)入渓
6.5h)屈曲ゴルジュ-(220m)夏道(4h)駐車場   総行動時間15時間10
 最初にウブシノッタ川に行ったのは2011年の72日だった。この時は最初の小滝を越えることができずに巻いたりしている内に時間切れになり撤退した。
 そのあとも毎年のように計画していたのだが、仕事や天候のせいで実現できなかった。 7年越しで今回ようやく達成できた。
 金曜日の夜にカムイワッカ駐車場で車中泊した。土曜日朝4時前に起きて、450分に出発した。2回の涸れ沢登り撤退の記憶がちらちらとよぎるが、今回は出発時間も水量も不安要素はない。大丈夫だ。きっとやれると気持ちを高ぶらせて林道を歩く。
 ここからの懸垂下降も3回目となると慣れたものだ。今回は最適な下降ルートを取れた。30mロープ2本繋いで1回目の懸垂。ルンゼをそのまま降りると空中懸垂になってしまうので、少し上流側にずれて大きめの木の前で降りる。そこで支点を作り2回目の懸垂は30mロープ1本だけで降りたので、結局は30+15m=45mの懸垂下降で済んだ。
 入渓したのはちょうど7時。歩きだして、まもなく釜を持った2段の小滝が現われる。
これは難なく越えられる。そのすぐ後に小滝が出てくる。この小滝の向こうに行ったことがないのだ。俺だけが登って荷揚げに失敗して撤退しているので、この3つ目滝の先は未知の世界なのだ。
 取り付きのホールドがないので、ハーケンを打ってスリングにぶら下がって登った。

 さあ、ここから先は未知の世界だ!
ウブシノッタ川は鉄分が多いせいで川底が茶色になっている。ここの水は飲めない。左岸の苔苔の岩壁を滑るように滝が流れ込んでいたので、綺麗な水かな?と思い口に含むと硫黄の味がした。
400mくらいの所にある5mの滝は右岸がガバなので難なく越えられる。この滝を越えるとだんだんと水量が少なくなり、ゴーロ帯になってくる。この日の気温は高くかなり消耗した。モコは熱中症の入り口だった。
560mあたりにモザイクの滝がある。オレンジと白とグレーの石が寄せ集まったガレガレの滝だ。ボロボロで落石が怖いので、左岸の藪を巻いた。
850mあたりにある78mくらいの2段の滝はいずれも左岸の藪を巻いた。水流のある滝はこれが最後だった。

 そのあとしばらく巨石帯が続く。雪渓が出てきたあたりから両岸がだんだんと狭くなって巨大な岩壁がそそり立つ地形になる。
1100mに屈曲したゴルジュがある。水は流れていない。切り立った崖が人ひとり通れるくらいの幅で迷路のように曲がりくねっている。迷路のドン詰まりに5mの枯滝がある。フリーで登れる。これを越えるとウブシノッタ川の源頭の広大な景色が眼前に広がる。東岳や知円別岳が見える

 1200mの右股の沢型に入る。水がチョロチョロと流れている。この水は飲める。この日ウブシノッタ川に入渓してから初めて飲める水に会った。上部の雪渓が溶けて流れてくるものだった。この沢を詰めていくと1460mで夏道に出る。知円別岳から降りてきた時の最低コルである。
もう夕方の4時になっていた。この後の下山も長かった。井上は踵の靴連れとつま先の痛みで変な力がかかってしまいかなり消耗した。モコは元気だったが、暗くなると熊を怖がり鈴をジャンジャン鳴らして降りた。

 登山口についたら8時になっていた。ボロボロで口もきかずにデリカに向かった。林道を走らせて、いつもの日帰り温泉に。ウトロ道の駅で車中泊。疲れと暑さでなかなか熟睡できず、うなされた。翌日目が覚めてから、ようやく4度目の正直の達成感を実感する俺たちだった。

 

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